RYDE株式会社
最終報告
東京さくらトラム(都電荒川線)において2023年12月より行われていた、RYDE株式会社のプロジェクトが2024年3月に完了しました。
RYDE株式会社は、「交通事業のDX」を目的とし、同社が提供するモビリティサービス「RYDE PASS」を活用し、東京さくらトラムのデジタル乗車券を試験運用しました。デジタル乗車券によって、お客様がいつでも・どこでもキャッシュレスで乗車券を購入できるだけでなく、現地業務負荷の改善や、デジタル乗車券と連携した沿線イベント・店舗等のデジタルクーポンの運用によって、沿線の賑わい創出だけでなく、新規顧客やリピーターの開拓を目的としたマーケティング施策の効果測定も進めてまいりました。
取り組みの概要
- いつ、どこで、誰が、どう利用しているか、沿線への経済効果、顧客満足などを、簡単に把握できない。
- "紙の乗車券"を"モビリティサービス"へ移行させた際の現場実務の不安・負担。
- 「東京さくらトラム」の様々な取り組みが、それ単体で完結している。
- 乗務員さんに伝えてその場で購入する。
- いつ、どこで、誰が、どう利用しているか、沿線への経済効果、顧客満足などを、簡単に把握でき、次につながる。
- "紙の乗車券"を"モビリティサービス"へ移行させても現場実務で問題なし(むしろラク)。
- 「東京さくらトラム」の様々な取り組みが、地域のイベントや施設とも連携可能に。
- スマホでいつでも・どこでも購入できる。
プロジェクトの結果、東京都北部や隣接市町を中心とした全国の10代~70代の幅広いお客様約700名に、延べ約1,000枚の乗車券をご購入いただきました。
また、購入時、乗車時のトラブルもなく、顧客満足度も90%を超える高水準となりました(5点満点のユーザーレビューにて平均4.64を記録)。また、それを裏付けるように、短期間での販売だったにも関わらず、多数のリピート利用がありました。
また、従来の乗車券の販売方式では困難であったお客様の利用者属性や利用傾向を簡単に把握できるようになりました。
2023年度 実証実験 実績サマリー
- お客様数:約700名 ・販売枚数:約1,000枚
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良好な利用状況
・東京都北部や隣接市町を中心とした全国の10代〜70代のお客様
・現地トラブルはなく、顧客満足度90%以上(5点満点中平均スコア4.64)、初回・数年ぶりの利用が3割弱、リピート利用も多数発生 -
データの可視化と利活用
・利用者様の顧客属性や利用傾向、カスタマージャーニー・周遊効果・経済効果を定量的に可視化。また、ユーザーレビューやアンケート等で、今後の取り組みに対する具体的な要望などを定量・定性の両面で収集
例えば、東京都下水道局とコラボレーションして実施した「受験生応援キャンペーン」においては、参加されたお客様の属性や施策の認知経路を把握できました。また、位置情報から作成したヒートマップによって、商品贈呈場所であった三ノ輪駅橋停留場周辺の訪問者が増加し、かつそのお客様が沿線各地へ足を運ばれたことがわかるなど、現地周遊効果も把握することができ、今後より効果的な施策を打ち出すための示唆が得られました。
受験生応援キャンペーン期間中のヒートマップ
検証の結果、RYDE PASSの導入によって、既存のお客様の利便性向上だけではなく、新規のお客様の開拓につながりました。また、デジタル乗車券だからこそ得られるデータを活用することで、沿線の行政や関連する交通事業等との新たな連携施策や、お客様に対する新たなマーケティング・コミュニケーションを次々と実践していくことが期待される結果となりました。
今後、本プロジェクトにおける効果検証の結果を活用し、公共調達による導入などを推進してまいります。