GINZAFARM株式会社
開始報告
GINZAFARM株式会社は2022年8月24日(水)より東京都立大島高等学校においてプロジェクトを開始いたしました。
東京都では、気温上昇や悪天候などにも対応することのできる強靭な「スマート農業」を実現する技術支援・普及対策や、次世代につながる産業を確立するための農業者の確保・育成を進めています。そんな中、大島高等学校において先端技術を活用することにより、農業分野における効率化・高度化の可能性を検証します。
具体的には、本プロジェクトでは農薬散布ロボットおよび鶏舎管理ロボットを大島高等学校で活用いただき、それぞれの作業における身体的負荷や所要時間の削減効果や、生徒における農業への意識変化等をアンケート調査を通じて検証してまいります。
なお、本プロジェクトは2023年1月末頃までの実施を予定しております。
最終報告
東京都立大島高等学校において行われていた、GINZAFARM株式会社のプロジェクトが2023年1月に完了しました。
GINZAFARM株式会社は、大島高等学校の教員・生徒に同社が提供するスマートアグリロボット「FARBOT」を活用した農作業を実施していただきました。通信を活用したスマート農業技術の体験機会を提供することで、農作業の生産性向上や農業の魅力向上、スマート農業技術への理解度向上の効果を検証しました。
効果の検証にあたっては、教員・生徒が「FARBOT」を使用した際の作業時間の測定やスマート農業に対するアンケートなどで評価していただき、農業関心層だけでなく、農業に無関心な若者も職業の選択肢として農業へ興味・関心を持つ可能性などを検証しました。
まず、農作業における生産性の向上効果は、農薬散布および農作物の管理における作業時間の比較にて検証を行いました。人手と「FARBOT」活用時で各作業の所要時間を比較により、「FARBOT」の活用は農作業時間の削減の効果が検証されました。操作体験を実施した生徒・先生からは、炎天下で防護服を着る手間がなくなること、ホースをけん引する労力が不要になることなどから、「身体的・精神的負荷が大きく軽減される」という感想を伺うことができました。
農薬散布作業時間比較(平均値・N=6)
栽培管理作業時間比較(代表生徒にて測定*)
*ネットワークの影響で十分な映像伝送が見られない時間帯があり、最もスムーズに稼働した代表生徒で測定を実施
農業業界の就業意欲度向上およびスマート農業技術への理解度向上については、「FARBOT」活用前後のアンケートにて検証を行いました。
事前アンケートでは、農林科の生徒であっても、半数が農業の将来に対して不透明さを感じていたが、事後アンケートでは、スマート農業の活用により農業の将来が「明るい」という回答を生徒全員から得られました。また、事前アンケートでは、農業の職業としての魅力が「とてもある」「ある」の回答が90%を占めており、事後でもスマート農業の活用により、農業の魅力が「上がった」と生徒全員が回答しました。このことから、「FARBOT」をはじめとするスマート農業が農業の魅力の向上に寄与する可能性が確認されました。
事前(N=10)
事後(N=7)
加えて、事前アンケートでは、「スマート農業の魅力」について、4割の生徒が「普通」と回答したのに対し、事後アンケートでは全生徒が「(ロボットを活用したいと)思う」と回答しました。「FARBOT」活用前には、スマート農業に対して魅力的に思っていない生徒も一定いたが、活用後には技術の実用性を理解したと考えられます。
事後アンケートにおける自由記述においても、「スマート農業に触れた感想を聞かせてください」との設問に対して、生徒からは「操作したりするのは楽しかった」「楽でやりやすかった」「農業をする人にとって、ロボットが身近な存在になれば衰退も少し回避できると思いました。大島には特に良い。需要があると思います。」など、農業における先端技術の活用に対して前向きな回答をいただきました。
以上の検証結果を以て、最先端技術の活用による農作業の生産性向上や農業の魅力向上、スマート農業技術への理解度向上の検証において、GINZAFARM株式会社が提供する「FARBOT」の有用性は高いと考えられます。
一方で、生徒間でのロボット操作の運行速度のバラつきや、ロボットに掲載されたカメラでのネットワーク不良による映像の乱れなど、プロダクトに関する改善がポイントが見受けられ、普及に必要な対応事項等も整理されました。
※実証実験終了日(2023年1月時点)の情報です。
2023年9月29日現在(更新日時)、当該企業は破産しております。