実証実験の進捗状況

開始報告

株式会社 イノフィス-01
株式会社 イノフィス-02

株式会社イノフィスは2020年10月5日(月)、東京都社会福祉事業団が運営する日野療護園での実証実験を開始いたします。
日野療護園の従事者には、同社が提供する「マッスルスーツEvery」を装着した状態で、入所者のオムツ交換・体位交換・移乗・入浴等の作業を行っていただき、介助業務に伴う身体的負荷の軽減や福祉現場における「マッスルスーツEvery」の有用性を検証します。
検証の際には、従事者へのアンケート調査やモーションキャプチャーなどを用いて作業時の負担軽減効果を検証すると共に、現場のビデオ撮影等による使用時の様子を確認してまいります。
なお、本実証実験は2020年12月末までの実施を予定しております。

最終報告

東京都社会福祉事業団 日野療護園で行われていた株式会社イノフィスの実証実験が2020年12月23日に完了しました。

株式会社イノフィスの実証実験は、介助職員による「マッスルスーツEvery」の使用感に関するアンケートおよび筋電計と3Dモーションキャプチャを通じた身体負荷の計測結果を通じて効果検証を行いました。

まず、介助職員からのアンケート結果では、「マッスルスーツEvery」の装着により、介助業務時の負荷が軽減される効果が確認されました。「マッスルスーツEvery」をすることにより、介助業務において「痛みのある部位の有無」、「疲労度」については対象業務全般で、 「ストレス」については特に体位交換において、使用前後で有意に数値変動があり、マッスルスーツの有用性を確認しました。

使用前後の比較(対象業務全般)

株式会社 イノフィス-01

ストレスに関する使用前後の比較(体位交換)

株式会社 イノフィス-02

また、節電計によるシミュレーションでは、介助業務における背中の筋肉(①~④)の活動量を計測することにより、 「マッスルスーツEvery」装着による補助ありの状態と補助なしの状態を比較して、筋肉の活動量が低減していることが確認され、業務負荷軽減の有用性が確認されました。

特に、非介助者を抱えながらイスから床にゆっくりと下ろす動作においては、「マッスルスーツEvery」による補助によって筋肉の動作量が大きく減少しており、定量的な身体負荷軽減が確認できました。

業務 「移乗:床からイス」における筋肉の活動総量
(補助なしの場合の活動総量を1とした場合)

株式会社 イノフィス-03

業務 「移乗:床からイス」における筋肉の活動量の時間推移
(補助あり/なし比較)

株式会社 イノフィス-03
株式会社 イノフィス-04
株式会社 イノフィス-03
株式会社 イノフィス-04

3Dモーションキャプチャーを用いた業務負荷の計測では、「マッスルスーツEvery」装着による補助ありの状態と補助なしの状態それぞれにおける腰椎付近への負荷(腰椎間圧迫力)を比較検証しました。その結果、腰椎付近への負荷(腰椎間圧迫力)が介助業務において低減していることが確認されました。

特に、ベッド上における体位交換をする動作においては、腰椎付近への負荷(腰椎間圧迫力)が大幅に軽減できており、十分に有用性が検証されたものと考えられます。

業務「ベッド上における体位交換」における腰椎間圧迫力の時間推移

補助なし

株式会社 イノフィス-08

補助あり

株式会社 イノフィス-09

凡例: 災害性腰痛を引き起こす危険性があるとされている腰部の椎間板圧迫力値*1

以上の検証結果を以て、看護・介護従事者の業務負担軽減という社会課題の解決に資するものとして、株式会社イノフィスが提供するマッスルスーツEveryの有用性は高いと考えられます。一方で、限られたスペース内での使用や、「マッスルスーツEvery」の着脱の手間などの運用上の課題も確認され、今後、福祉施設等における導入に向けた必要な対応事項等も整理されました。

今後、本実証実験における効果検証の結果を活用し、公共調達による導入などを推進してまいります。

<参考>
*1: 米国労働安全衛生研究所(NIOSH)

公共調達の事例紹介

公共調達の事例紹介:株式会社イノフィス-01
公共調達の事例紹介:株式会社イノフィス-02

株式会社イノフィスは令和2年度の地方自治法施行令第167条の2に基づく認定を受け、令和3年4月以降より、福祉施設に加え、福祉系の学科がある都立学校で「マッスルスーツEvery」が導入されました。そのうちの1校が東京都立赤羽北桜高等学校です。

赤羽北桜高等学校は、令和3年4月に開校し、「保育・栄養科」「調理科」「介護福祉科」の3つの科を併せもつ専門高校です。教育理念のひとつに「専門分野への興味・関心の喚起とプロ意識の涵養」をあげ、3科ではそれぞれ家庭分野、福祉分野における専門的知識・技術と共に、倫理観、広い視野の育成を教育目標として掲げています。

同校では、今後生徒が福祉分野のエキスパートとして活躍していくためにも、最先端技術に触れ、進化していく介助・介護用具を活用していける力を身に着けてほしいといった考えから、12台のマッスルスーツEveryを公共調達し、授業に取り入れていただいています。

介護福祉課における「生活支援技術」の授業では、生徒が自らマッスルスーツEveryを装着し、ベッドから車椅子への移乗介助や、ベッドでの抱き起こしの実習を行っていただきました。装着に手こずる生徒には他の生徒が装着のコツを教え、移乗介助の練習では「身体ヨコ向けますね」など、互いに声をかけあいながら熱心に実習に取り組んでいただきました。実習後、生徒からは「装着が難しかったが、身体に負担のないような使い方が分かった」といった声もあり、介助・介護業務で蓄積される腰痛を防ぐソリューションとして実感していただけました。

メディア

テレビ朝日「東京サイト」 12月3日(木)放送

株式会社イノフィスが、テレビ朝日の「東京サイト」にて取り上げられました。

今回は『障害者を支える』をテーマに、「マッスルスーツEvery」の製品情報に
加え、本事業の実証実験として日野療護園に導入されていることや介護職員のインタビュー内容が放送されました。

「東京サイト」は関東地区の毎週月~金曜日13:45〜13:49に放送しており、
番組ホームページでは、放送内容が公開されています。「バックナンバー」から、放送日(12月3日)を選んでご覧ください。

外部サイト:テレビ朝日「東京サイト」番組ホームページ
https://www.tv-asahi.co.jp/t-site/index.html